教授挨拶


アレルギーに悩める全ての患者さんを受けとめる医療を目指して

現在、国民の2~3人に1人がなんらかのアレルギー疾患に罹患し、今後もアレルギーの患者さんは増えるとされています。また、患者さんの中には、皮膚や呼吸器、眼、鼻、耳など身体の複数の部位に多彩な症状が誘発され、病態が複雑化し、治療が難しい方も少なくありません。そのような時代において、アレルギーに悩める全ての患者さんを受け止める医療を目指し、2017年1月1日、藤田医科大学の第2教育病院であるばんたね病院に「総合アレルギー科」は新設されました。

一方、拡大するアレルギー疾患の問題に対応すべく、厚生労働省をはじめ、国家レベルで様々な施策が行われており、国家レベルでも「アレルギー疾患対策基本法(平成26年6月成立/平成27年施行)が制定され、アレルギー疾患に対する医療への期待は大きくなっています。ばんたね病院には以前より内科、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻科からなる“アレルギーセンター”が稼働していましたが、今回、私共の総合アレルギー科が加わり、平成29年5月1日に“藤田医科大学 総合アレルギーセンター”が新たに開設される運びとなりました。本学総合アレルギーセンター(ばんたね病院 堀口高彦センター長)各科の先生方(呼吸器内科、小児科、耳鼻科、眼科、皮膚科)とタッグを組み、原因が確定できず治療に苦慮されている、もしくは診断はついても症状が続いていらっしゃる小児から成人、ご年配に至る幅広い年齢の患者さんに対し、大学病院として、より専門的な検査や治療を行うことを目指して参ります。

総合アレルギーセンター センター長
先端アレルギー免疫共同研究講座 教授
矢上 晶子

他の施設では受けられない高度で専門性の高い医療を

多岐に渡るアレルギー疾患の中でも、私共の専門は皮膚アレルギーでございます。これまでアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、食物アレルギー、薬疹、職業性皮膚疾患、さらには化粧品皮膚炎、尋常性ざ瘡(にきび)、酒さ(赤ら顔)などを主なテーマとして診療や研究を行って参りました。そのような中で、特に、ゴム手袋などの天然ゴムラテックス製品によるラテックスアレルギーや茶のしずく石鹸による小麦アレルギーの事例、美白化粧品による脱色素斑など社会的に問題となる事例を多数経験し、疫学調査、抗原解析、治療、社会的な啓発活動など、様々な取り組みを精力的に行って参りました。これからは、これらの経験を基に、さらに精度の高い診断(プリックテスト、パッチテスト、負荷試験)、治療(舌下免疫療法を含む)を行い、総合アレルギー科ならではの専門性の高い診療を行って参ります。

現状のアレルギー診療の一歩先を目指した研究

診療と同時に、新しい検査法や治療法を確立することを目標に、総合アレルギーセンター、アレルギー疾患対策医療学(松永佳世子教授)、他施設の研究者と連携した研究活動も積極的に進めており、また、今後は教育活動にも力を入れて参ります。特に皮膚アレルギーを学びたいと思われる先生がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。当方では、ひとつの診療科では解決できないアレルギー疾患の患者さんへの対応、アレルギーを全身的に診る手法や知識を学び、そして、皮膚アレルギーの専門的な検査や治療、最先端の研究を学ぶことができるような研修プログラムを先生方のご希望に沿いご提供し、アレルギー診療を広く深く学ぶことができるように努めます。

頼れる、そして勧められる診療科を目指して

地域をはじめ、全国のアレルギーで苦しむ患者さんより「一度、ばんたね病院の総合アレルギー科を受診したい」、そして、先生方より「一度、ばんたね病院の総合アレルギー科への受診を患者さんに勧めたい」と思い、頼っていただけるような診療科になれるよう、 “アレルギーに苦しむ、全ての患者さまのために”をモットーに医局員が一丸となって診療にあたりますので、これから、どうか、よろしくお願い申し上げます。